LISA SOMEDA

web (6)

アーカイブ

 

そもそも、話すのがうまくない。
いつも言いたいことを言えない、言い足りないもどかしさがあって、書くことでやっと出し切る。

そのための道具としてブログを書きはじめ、しだいに生活の中での気づきや、読んだ本の印象深いフレーズをメモ書きのように残すことが増えてゆき…

それでも、書きはじめた頃から、ひとりの人間が作品をつくりながら何を考えどう生きたか、制作のさなかに考えたことをその都度綴っておけば、登山で言うところの踏み跡のようなものとして、あとからこの道を進む誰かの役に立つかもしれないとは思っていた。(そして実際に「読んでます」という若い作家の方が現れてびっくりした)

近年アクセスが安定しつつあるのに加え、自分自身を振り返るのにも役立つようになり、アーカイブとしての側面を少しずつ意識するようになっていった。

さらに今は、写真作品だけでなくこれらドキュメントも含めた営為を制作物としてとらえ直し、作品とドキュメントのつながりをもっと明確にしたいという欲も出てきた。

多くの作家にとってWEBは広報媒体のひとつかもしれないけれど、わたしはここを拠点とする。そう決めたので、これから少し時間をかけて手を入れていこうと思う。

もうひとつ。
20年近くひとつのプロジェクトに携わり、時間とともに作品に対する意味づけが自分の中で変遷するという経験をした。さらに20年続けたら、20年後のわたしは今とはまったく違う意味づけをするかもしれない。くわえて、人間は思っているよりずっとあやふやで一貫性に欠けているのではないか?という疑いもある。少なくとも自分のことは誰より自分がいちばんよく見えて〝いない〟。

つまり…定型フォーマットに則った「このコンセプトでこの作品をつくった」という作者の語りからこぼれ落ちるものが、わたしの意図を超えてここに残るかもしれないと期待している。

画像スクロール用サンプルパッケージ

 

おかげさまで、オンライン展覧会 “On Your Side”は、多くの方のご訪問をいただき、感謝しております。
会期も残りわずかとなりましたので、まだの方は、下記URLにてご覧いただけると、たいへんうれしく思います。(終了しました)

https://somedalisa.net/exh2020/

さて、本展の作品表示のためにつくった画像スクロールプログラムのサンプルパッケージを用意しました。ダウンロードが可能です。

きわめてニッチな用途とは思いますが、必要な方はご利用ください。
MITライセンスにて配布しております。

sample.zip

1pxの影

 

写真は、空間を平面に圧縮するのだけれど、webに携わるときは、ディスプレイの平面上でいかに立体あるいは空間を表現するか、という逆ベクトルの要請を受ける。

たとえば、ボタン。
あからさまにツヤップリッとさせるのはさすがに時代遅れだけれど、まんまフラットでは訴求力が弱い。押すことを促すために、フラットに見せかけつつ、気づかれない程度の影をつけたりする。10%以下の濃度でたった1pxの影。それでもひとの目はよくできているもので、まったく影のないものに比べると、手前に浮き出ているように感じる。

数年前に流行ったパララックスも、手前として設定したオブジェクトと、奥にあると設定したオブジェクトの速度に差をつけて、奥行きや立体感を表現する。

つどつど、わたしたちが何によって手前-奥を認知するのかということを考えさせられる。

まったく、空間を平面に圧縮すること、平面に空間を立ち上げること、の往還の中におるわいね。

つくってもらう

 

いつもはつくる側だけれど、大きな予算を用意してつくってもらう側に立つことになって、見えたことはすごく多い。

400社ほどの制作会社の実績に目を通して、そこから絞って絞って、打ち合わせに臨んでみて、最後にお任せしたいと思ったのは、若いひとたちが活き活きと仕事をしている会社だった。

人数も少なくて、他社よりリスクもあるけれど、可能性を感じたのと、何より、この人たちと一緒に仕事をしたら楽しいだろうな、この人たちにつくってもらえたらうれしいな、と強く思った。

逆に、話が金銭のことに終始している会社にお任せしたいとはまったく思わなかった。

自分たちのやっている仕事を本気で楽しんでいる人たちは、本人たちが思っている以上に、そのことがクライアントに伝わっている。
そういうことが実はすごく重要なポイントだということに、あらためて気がついた。

つまるところ、クライアントも人なのだ。

SKYPE

 

ふだんはほとんど電話で会話をすることがないんだけど、
ここのところ、ともだちからまめに連絡があったので、
SKYPEをインストールしてみた。

すごい。

使い方を間違えるとすごく怖いツールだな、と思いながら、
おそるおそるの会話。

お互い、コレ切りドキがわからんな、と言いながら、
いちおう要件らしきものを伝えて切断。

まだ、機能をあまり把握していないので、
チャットやSMSにどのくらいの情報がOPENになっているのか、
ということと、傍受の可能性に対して、警戒心を抱いている。

とりあえず、安全に使えるように、
機能と仕組みをちゃんと把握しないとあかんな。

webで見せる、ということ

 

展覧会でも写真集でもなく、webで写真を見せるとはどういうことか、ということをずっと考えていて。展覧会の告知や作品カタログのようなかたちではなく、webで何ができるんだろうか、と。webで見せること自体が作品であるにはどうしたらいいのか、と。

写真集も展覧会も、配置や点数の制約があって、それゆえそのなかでどう見せるか、という編集が見せどころでもあったりするのだけれど、そして、編集というのはとても魅惑的な作業なのだけれど、一旦、その編集の0度、写真そのものから何が見えるのか、というのを見てみたい、と思ってもいて。

いっそ、表示順序もランダムにして、総体としての「まとまり」を把握しにくいかたちで見せるのはどうだろうか、と思いはじめ、実験的ではあるけれどsnapをランダムに見せるscriptを組みはじめました。

編集というのはほんとうに”力”があって、写真そのもの、というよりも編集で見せてるんじゃないの??ということを考えたりして、シリーズとしてまとめることに、いまはまだ納得がいかなくて、写真点数をだんだん増やしていったら、輪郭があやふやなまま、育つような感じ。

コントロールすることを一旦放棄して、編集から自由になったところで、何が見えるのか。

何も見えないかもしれないし、しょうもないかもしれないけれど、見てみたい、と思うことはやってみようと思う。曖昧な表現でごめんなさい。違和感、とか齟齬とかは、ほんとうに、ことばにしにくい。