数年前に友人がプレゼントしてくれた美術手帖、森山大道さんのインタビュー記事を読み返していた。

「一枚のタブロー化された作品というのは本質的な意味で写真ではないという、タブロー化への反感もあった。」

写真をばっちりと一枚の完成された「作品」に仕上げることに違和感を覚えていた。他人の作品を否定はしないけれど、自分は違うと思っている。そういうふうに理由もわからないまま、自分の直感を確信していることがいくつもある。理由がそれに追いつくのに数年かかることもある。

自分でも理由がわからないから、たまに同感できるものに出会うとほっとする。
ほっとする。けれど、理由はまだ見つかっていない。

ただシンプルに、写真は断片なのだから断片のままでいいのだと思っている。