会期末だということに気づき、あわてて、畠山直哉さんの「線をなぞる / 山手通り」を見に行く。

線をなぞる、のシリーズは、どう見たら良いのか、少し戸惑う。

空間の尋常ではない入り組み方が、写真によって平面に写し取られたことで変位するようなところが気になる。すっきりしない感じで、これはしばらく気になり続けるだろうなぁ。

Slow Glassのほうは、もっと素直に見る。

水滴のひとつひとつが、それぞれが独立したスクリーンであることが、発見のひとつ。

ガラス越しの背景にぼやけて見える像と、水滴に映る輪郭のはっきりとした、しかしデフォルメされた像との対比がおもしろい、と思った。

写真に写しでもしなければ、こんなに真剣に窓の水滴を凝視することはないから、やっぱり写真っておもしろい。

ある視点から見た光景を留めおくことによって、ディテールを凝視することができる、というのが、写真のおもしろさのひとつだと確信している。