幼少のころ、ひとつふたつ年下のともだちを連れて、放課後の幼稚園に歩いていった。スクールバスで通っていたくらいだから、けっこうな道のりだったと思う。

一緒に行ったのに、わたしはその子をほったらかして帰ってきてしまった。
悪気はなかったのだけれど、自分が帰ろうとしたそのときに、年下のその子は帰ろうとしなかったんだと思う。ほんじゃお先に、くらいの軽い気持ちだった。

あとから知ったことだけれど、
うちの母はずいぶん、そのことでその子の親から嫌味を言われたらしい。

おさなごころに「責任」ということの意味を学んだんだと思う。
そのことばに出会う前に。

ふたつめ。
高校生の頃、ともだちと家出をしたことがあった。
夜の街を行くあてもなく歩いて、翌朝帰ったとき、ともだちの母から叱られた。

「本当のともだちなら、一緒に行くのではなくて、止めなさい。」

涙があふれた。

自分が巻き込んだことには責任を持つこと。
ともだちだからこそ、止めるべきときには止めるということ。

わたしがこころに誓ってきたこと、ふたつ。
特にいま、わたしの胸にずっしり重い。