ここ数年、撮影旅行や、展覧会でバタバタしていて、知らぬ間にものが増えていた。
引っ越しや、トランクルームの利用も考えたけれど、まずはものを減らしてみようと思い、不要品の処分と部屋の整理に取り掛かったのが1年ほど前のこと。最近になってようやく、目に見えてものが減って気づいたことがある。

はじめは、身軽になりたいという思いに突き動かされていたのだけれど、ものが減って部屋が片づくと、
(誰もが言うことだけれど)まず、とても気分がいい。

そして、予期せぬ収穫は、今まで気づかなかったことに、気がつくようになったこと。

部屋のカーテンをシンプルなものにかけかえたら、翌朝、外から射し込む光が、窓ガラスを通すのと、通さないのとで、ほんの少し、緑み、あるいはマゼンタみ、を帯びていることに気がついた。
もしこれが、部屋がごちゃごちゃしていたり、にぎやかな柄のカーテンを吊っていたら、きっと気づかなかったろうと思う。日常生活での些末な気づきは、もっともっと、数え切れないくらいたくさんある。

ものが多いときは視覚刺激が多すぎて認識できなかったものが、ものが減って刺激が少なくなったせいで、より繊細に認識できるようになったのだと思う。感度が少し上がったのかもしれない。

どうしたら見る感度を上げられるか、ということをずっと考えていたけれど、意外なところにヒントがあった。

余計な刺激を減らせばいいのだ。