気をつけたいことは、知らず知らずのうちの、不遜、そして、傲慢。デザイナーの義妹と話していて、彼女のデザインに対する真摯な態度に、自分が恥ずかしくなった。あるいは、デザインに対して真剣に向き合っていないことに、自分の傲慢さを感じた。究極的には、デザイナーではありえないのだけれど、そこに携わる以上は、謙虚に研鑽を積まなければ失礼だ。

せめて、知識と研鑽の積み重ねで、良質のデザインを世に出すことができるようになるのかもしれない、と思って、まっさらな気持ちでデザインの勉強をやり直すことにした。少しずつでも、本質的なところに向かえるように。

いま携わっている仕事はちょうど貿易関係の販促物なので、どうしたら欧文をうつくしく組めるのだろう?という素朴な疑問から出発する。

海外の空港の案内板でみる欧文はとてもうつくしいのに、国内でうつくしい欧文を見ることは少ないし、自分でもなかなか、気持ちよくデザインできたと実感できることが少ない。

ということで手にとった、小林章さんという書体デザイナーの方の著書がすぐれて良い。

欧文書体―その背景と使い方 (新デザインガイド)
(小林章著 株式会社美術出版社 2005)

海外で見かける和文の組版が「どこかヘン」と感じるように、きっと日本人の組む欧文の組版も、海外のひとには「なんだかヘン」に映るのかもしれない、という危機感があったのだけれど、
まったく同じことを、最初の章に書かれているのが可笑しかった。

そして、例文がまたうつくしい。

Letters are symbols which turn matter into spirit.
文字は単なる物事を精神にまで高める