大きめのサングラスをかけ、ファーのついたジャガードのコートをはおり、チェックのパンツに黒いブーツ。
実家に向かう途中、交差点で信号待ちをしている女性があまりにかっこよくて目を奪われる。
久しぶりに惚れ惚れしたのは、自分の母親より10も15も年上であろう白髪の女性。

そう。芦屋や岡本のあたりでは、ものすごくスタイリッシュな70代、80代に出会うことがある。
長年ずっと手を抜かずにお洒落をしてきた集大成だから、色もバランスも素材も抜群。そして何より板についている。
そういう方に巡り会うと一日中嬉しいきもちになる。

「ファッションは他人の視線をデコレートするもの」というのはほんとうだと思う。

その前日、祖母が愛用していた薄いグレーのポンチョをはおってみた。
とても上品なグレーだけれど、今の自分の髪は黒すぎて似合わない。祖母の綺麗な白髪だからこのグレーが似合ったのだな、と。

白髪だからこそ映えるということもあるのだ。
巷ではアンチエイジングの大合唱だけれど、そういうふうに白髪になる日を楽しみにするのも好いなぁと思う。
祖母のポンチョと、スタイリッシュな白髪女性から、年を重ねる楽しみをいただいた気がする。