なかば強引にハルさんを食事に誘い出す。
こんな紅葉まっさかりの季節に生まれてきたのに、
なんで寒色ばっかり好きなんやろ?
と尋ねたら、ハルさんは、
それでも、この季節は、玄関にいっぱい紅葉を敷き詰めてる。と言う。
あの落ち葉をふむカサカサという音が家の中で聞こえるのは、ちょっと楽しそう。
おかんの話。
何年か前の同窓会で、幹事をしていたノブちゃんが、
幹事の打ち上げの席で、感極まって泣きそうになったんやけど、
おてんばで名のとおったノブちゃんを人前で泣かしてはいけない、と思って、
かわりにわたしが泣いてん…という。
かわりにわたしが泣く???
(まぁ、他人に先に泣かれたら泣けなくなるものね…)
おかんって、そんなんやったっけ?
ほんまなら、ちょっといいやつやん…。
おかんで30余年、ハルさんは10年くらいのつきあいだけれど、
まだまだ知らないことがいっぱいあるんやなぁ、と思う。
ひとのありようにこころが触れる、ということは、
このところめっきり減っていたのだけれど、
これは、たてつづけにふたつ、ほんのりこころがあたたまった。