リハビリの夜 (シリーズケアをひらく)』(熊谷晋一郎 医学書院 2009)を読む。

医学的な運動論かと思っていたら、官能を軸にして、運動や他者との関係性について語られていて、それがすごく新鮮だった。

規範からはぐれそうなときには体をこわばらせ、規範から解放されればほどける。そしてこのような、規範をめぐるこわばりとほどけの反復運動には、官能が伴う。

なるほど。たとえば文章であったり、ひとのありように色気を感じるとき、わたしはその対象のほどかれように官能を見いだしていたのだと、妙に納得した。
では、我が身は?となると、身構えているのが意識化されないくらい常態になっていて、ほどかれるというのはなかなか難しい。

そして、本書で何度も繰り返されるキーワードのひとつ《ほどきつつ、拾い合う関係》には、ものであれひとであれ、拾ってくれる他者が必要とされる。