まだ夜も早い時間、低い空に見えるのは、
ひとつ星の欠けたオリオン座。

星座を知っている、ただそれだけで、
見えないけれど、もうひとつの星の存在を、
そしてそれがまだ地平線のしたにあることを、想像することができる。

見えないものを想像すること。

そうすると、すこし意識がゆさぶられて、
ただ、目の前にあるものを受け入れるだけじゃなく、
自分とその周辺がもっと大きな宇宙の営みのなかにあることが感じられる。

覚えるのが苦手だったから、
星の名前も、星座もほとんど覚えていないけれど、
ひとつ星座を知るだけで、世界の様相ががらりとかわる。

世界がぐんと広くなるスイッチ。
知識って、きっとそういうものなんだと思う。