ここ数日ずっと寝しなにShinjukuBuenos Airesを見ている。

「近所で写真を撮って作品つくるのは作家の怠慢」

という写真家の厳しいことばがずっと頭にあって、どこか遠くに行くことを考えはじめたから、一人の作家のホームタウンで撮る写真と、アウェイで撮る写真とを比べて見てみたい思った。

同じ写真家が撮っているのに、ずいぶん違うものに思える。

被写体の違い、だけなんやろうか。
ShinjukuよりもBuenos Airesのほうが作家のまなざしが自由になっている印象を受ける。

Buenos Airesは、特に見開き2ページの写真の組み合わせ方がおもしろい。

左ページのタンゴを踊る女性の網タイツが目をひけば、
右ページでは黒く濃く焼き付けられた橋脚の複雑な構造体が存在感を示している。
左右のページの被写体がまったく違っていても、どこか共振するところがあって、それがほどよい緊張感をもたらしているのだと思う。

1枚だけを見るのと、2枚を対で見るのは、2枚のたとえ片方を見ているつもりでも全然違う経験なんだと思う。

と、じいっと見ていると、寝そびれて起きそびれる。
明日は雨だから今夜はよふかしもいいかな。