桃山商事のポッドキャストで、横滑りしながらどんどん展開していく女性同士の会話のあり方(カシミア話法?カシミア論法?)が取り上げられていて、ジェンダーによって会話のスタイルに違いがあるの?という驚きが「横滑り」を意識するきっかけだったと思う。

たしかに、さいしょに何を話していたのか忘れるくらい会話が展開する(「で、何の話をしてたんだっけ?」と急に立ち止まる)という状況にはよく遭遇する。でもそれは前の話とのつながりを切断してまったく新しい話がはじめられるのではなく、前の話のどこかしらにフックしながら、しかも「思いがけないところ」にフックして次の話がはじめられるという形で展開する。わたしはそのライブ感こそが会話(雑談)の醍醐味じゃないかとすら思うが、話のなかの「思いがけないところ」というのは会話におけるある種のプンクトゥムなんじゃないか?と思ったのだ。つまり横滑りして展開するとりとめのない会話というのは、プンクトゥムの連鎖ではなかろうか?と。

ある写真のプンクトゥムとは、その写真のうちにあって、私を突き刺す(ばかりか、私にあざをつけ、私の胸をしめつける)偶然なのである。

(『明るい部屋 写真についての覚書』 ロラン・バルト著 花輪光訳 みすず書房 1985 p.37より抜粋)

仮にその発散的なスタイルの会話を女性的だというのであれば、いっそそれを徹底的にやってみようじゃないか、イメージで!という考えがよぎったのだ。あらかじめテーマや形式を決めてイメージを集め編む収束的な方法ではなく、横滑りするのを楽しみながら前のイメージのどこかしらにフックして次のイメージをつなげる発散的な方法を試してみようじゃないか、と。

おもしろければプロジェクト化すればいいし、数名でやってみるのも良いかもしれない。まずはsmall startで。

ことの発端はこのフライヤーだったのではないかと思う(事後的に)。
土器のマットな質感の黒がずっと頭にあったのだろう。おもむろにブラックデニムがほしい気もちになり、街でたまたま出会ったのが3本のデニムを1本に統合した再構築デニム。

つながっているようなつながっていないようなデニムの継ぎ方から連想されるイメージを手元の写真から選んでみる。ここからスタートだ。