鴨川散歩のついでによく立ち寄る店がある。荒神口近くにある「はじかみ」というその雑貨店は友人から教えてもらったのがきっかけで、ことあるごとにのぞくようになる。商品のセレクトに店主の愛情がこもっている素敵なお店。

週末の散歩がてらふらっとのぞくと、来月中旬で閉店するとのこと。とても残念で、惜しむように、商品ごとにつけられている店主手書きの紹介カードを丁寧に読んでいたところ出西窯のカードで目がとまる。

「民芸、民芸と、貴族のような暮らしをしていたボンボンたちにもてはやされ…」民芸運動のこと。すごい辛辣な批判でびっくりした。近年、民芸運動に対する関心が高まり雑誌などのメディアにとりあげられることも多くなったけれど、どうかご自分の目で確かめて判断してくださいというふうに文章は続いていた。実際に窯を見学に行ったときの写真もさりげなく商品の横に添えられていた。

物事には多様な側面があって、なのに、わたしたちはあまりに無批判に民芸運動をすばらしかったと受け入れてはいないだろうか。久しぶりにドキッとしたのです。民芸運動そのものの評価、よりも、ものごとを無批判に受け入れている自分たちの姿勢に。お店で買い物をしていて、こんなにハッとさせられることってなかなかない。

なんとなく素敵そうなもの、手に入れれば生活がゆたかになると思わせぶりのものでごったがえした雑貨店は山ほどある。でも、はじかみは、店主のいいと思ったものだけを置いていて、あふれるほどのものに囲まれる生活が決して豊かではないことを知っていて、買い過ぎ防止のために、クレジットカードは扱わず取り置きも予約も受け付けない。

そんな信念を持ったお店がなくなってしまうのは、ほんとうに残念。

石けんを買いに立ち寄ったけれどその石けんは品切れ。そこで、石けんや洗剤のいらない布を購入した。「わたふ」というその布は、びわこの汚染が進んだときに、洗剤を使わなくても汚れを落とせるように作られた「びわこ」の姉妹品。