ぎゅっとそでをつかむようなこと。
わたしはそのひとのそでをつかんだ。
このまま縁が切れるのはあまりにも寂しすぎる、と。
自分がそんな衝動を持ち合わせていたことに驚くほどまっすぐ。
ここにきてやっと、今までの出会いのなかで、
わたしのそでをつかんでくれたひとびとの気持ちが少しわかった。
そして、最後の仕事でお世話になったひとに、
お世話になったのはこちらのほうなのに、ぜひ一緒に働きませんかと誘いを受けた。
そでをつかんでもらったこと、ありがたい。と思う。
その気持ちには応えられないから、そっと抱きしめるだけ。
ぎゅっとそでをつかむその衝動で、ひととひとはつながっていくのかもしれない。