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ただの道具ではない。

ようやくDICのカラーガイドを入手する。

いや、お金を払えば誰でも簡単に買えるものだし、入手しようと思えばいつでもできた。
仕事の内容的に、そろそろ入手してもいいのではないか、と、
ようやく思えたというほうが正確かもしれない。

思えば12年前からずっと欲しかったのだ。
もっと言えば、ポスターのデザインがしたいというのが12年前の夢で、わたしにとって、色指定のためにひっつけるカラーチップは、その仕事を象徴するとても素敵でキラキラしたものだった。だから、DICのカラーガイドは、わたしにとって、ただの道具ではない。デザインに携わるという夢そのものなんだと思う。とても遠いところからデザインの世界に憧れていたあの頃のキラキラした気持ちが、この小さいチップにぎゅぅっと詰まっている。

近づいてみたら、その世界は決してキラキラしているだけではなかったし、むしろ実際は泥臭くて地味な作業の積み重ねなのだけれど、それでも憧れてるだけではわからなかったものづくりの醍醐味に触れられて、結果オーライ。憧れと現実は違ったけれど、それでもやっぱり好きでいられたし、こっちの世界に来て良かったと思う。

ずっしり重いカラーガイドをめくりながら、
あの頃見上げていた山の、裾野くらいには辿り着いたのかなぁ…なんて。

さて、このカラーガイド。
最初は「こんなにたくさん!」と感激したのだけれど、
いざ、作業に入ると欲しい色にばっちり同じ発色のインクなんて見つからない。
欲しいのは、このチップとこのチップの間くらいの色…というように、のっけから難儀する。

写真でも色でいちばん苦労するけれど、ほんとうに色って難しい。

特色どうしを重ねたらどんな色になるのか、とか、
いろいろ知りたいこと、見てみたいことがたくさん。
そこらへん、まずは実験かなぁ。

やってみんとわからんことだらけやけど、だからこそ、
ものをつくるのは楽しいんやと思う。

トーンカーブの日々

トーンカーブと格闘するうちに、夏が終わる。

写真は、撮った後が大変、ということがよくわかった。

色はほんとに難しい。相当色の偏った写真ばかりだったから、苦労したというのもあるけれど…
どうやったら、もっとスピードと精度、あがるんだろう…

先月末、

大切なひとを亡くし、しばらくぼんやりしとったん。

熱いものを触ってギャーっと叫ぶような、そういう生理的な反応が続いていたんだと思う。

そういうこころのありようで過ごしていたから、ましてや、ことばを綴るような状態、ではなく。

ただ、わたしがのんきに彼岸なんてタイトルで文章を書いているときに、そのひとは病と闘い、そして、まさしく彼岸に行ってしまった。

葬儀に向かう夜行バスで、不意に目が覚めたのが朝の5時。
オレンジがかった朝の光で満たされた世界。
空に向かってぬくっと存在を示しているのは、富士やったんやろうか。
見たことのない美しい時間やった。

まず青から順に届けられる。

早朝の撮影。
いちにちの始まりは、まず青から順に届けられる。

そのあとミドリが。黄色が。
そうして最後にやっと赤が。

まだまだ低すぎる露出とにらみあい、
かじかむ手を缶コーヒーであたためながら、
世界のことを少し知った。

極上のやさしさ

夕刻の空のいろは、極上のやさしさ。

一日の終わり、
とにかく感謝をしたい気持ちになったのは、
ずいぶん久しぶりかもしれない。

最近夜空を見上げていない。

むらさきを吸い込んでしまう

目の前に見えるのは赤い花だった。

そのあと息を吸ったとき、
視界がむらさきの花でいっぱいで、
むらさきを吸い込んでしまうと思って、おそろしくて、
とっさに息をとめる。

影絵の時刻

ほどけてしまったんだ。

とっくに、気づいていたのよ。
ここでの余生を送るような気持ちは、ぬぐいようもなく。
いまはもう、さよなら、を受け入れている。

あたらしいお願いと、感謝と、さようなら、糺の森に伝えにいった。

かえりみちは、影絵の時刻。
木々の濃い輪郭をくるむ、太陽のわずかに残した橙、そして紺。

時々刻々、深まる蒼。

遠い異国の旗を思わせる、月と星の配列。
時々刻々、深まる蒼。

気づけたことに、ほんの少し安堵する。

空の色、花の香り、草木のあざやかさ、街のたたずまい、ほほをなぜる風、
こころが共振しないままカメラを持って歩いても、つらいだけだった。

時間を気にしながらの路上スナップは、かえって毒だ。

きちんと世界に感応できるだけの余裕を、わたしは死守しなければならない。

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