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残すところあと2回

 

古い町家に引越して、大家さんから最初に手渡されたのが、家賃帳。1年分の家賃の領収書を一冊にまとめてあるもので、レトロな風情がなかなか、好い。

毎月5日までに、家賃とその家賃帳と、光熱水道費を大家さんに届けるのが、ルール。

光熱水道費は、母屋の方がまとめて支払ってくださっているので、はなれだけの子メーターを、自分で検針して、はなれの使用量を、電気・ガス、それぞれ計算してお届けする。

わたしの住んでいるはなれは、もともと1階と2階をわけて間貸ししていたものだから、子メーターもそれぞれ2つずつついている。

1階分と2階分、ガス2つ、電気2つ、都合4つの子メーターをそれぞれ検針し料金を算出する。最初は、面倒だなぁと思っていたこの計算も、もう残すところあと2回、と思うと、寂しくなる。

住めば都、とはよくゆうたものだ。

平成の大改修

 

家にひとがいるから。
家にひとがいないから。
そのどちらの理由でも、家に帰りたくないと思うことがあった。

唐突にそんなことを思い出したのは、
今日は日暮れまで家に帰りたくなかったから。

平成の大改修。
築年数不詳の住まい、早朝から大工さんが出入りして瓦をふきかえている。
電ノコの容赦のない音が、リアルタイムで通っている歯医者の処置を思わせて、
音だけで歯がいたい。

そんな事情で、家に帰りそびれているときに、そのひとのことばを思い出す。

家にいるのがいやでよく旅に出ていた。

それを聞いたとき、わたしはことばに詰まってしまった。
帰るのがいや、ではなく、いるのがいや、なんて、あまりに切ない。

寒いさん

 

「家内が外気温より寒い。このままじゃ、自宅で凍死するよ。」
と、泣き言を言うと、
「晴明神社に行って、寒いさんに出て行ってもらうようにお願いせなあかんな。」
と、母。

ものは試しということで、撮影がてら晴明神社に。
これで、寒いさんが出てってくれたらええんやが。

雲間から、かすかに見え隠れする今朝の光は、
けっこう色っぽかったな。

子だくさん。

 

帰宅すると、はなれの玄関先にちょこんと鉢が置かれている。
棕櫚竹だったり、サボテンだったり。

いちど鉢植えの話でもりあがって以来、
母屋の奥さんが、いろいろ鉢を分けてくださるようになった。
「置いてある」というのが、なかなか好い。

こっそり家の前まで来て誕生日のプレゼントを置いて帰るともだちがいたけれど、
それに近い。

いただいた鉢のおかげで、ベランダがずいぶんにぎやかに。
花のおかあさんは最近、子だくさん。

お返しというほどでもないけれど、
小鉢で咲いた白いミニ薔薇を一輪、母屋から見えるところに飾っておく。

鷲田清一さんの「他人の視線をデコレートする」ということばを思い出した。

シェア可です。いちおう。

 

転居先を採寸する。

いちばんの問題は、
3年前、調子に乗って買ったエレクトロラックスの冷蔵庫。

冷蔵庫の幅は55cm。
玄関の間口が56cm。それも木枠が歪んでいるから怪しいところ。
はなれにたどりつくまでに、狭い土間を通さないといけない。

その冷蔵庫はバカでかく、ワインを寝かせて冷やせるくらいお洒落なのに、
冬は冷蔵が冷凍になり、夏は冷凍が冷蔵になる。

冷蔵庫としては、いまひとつだが、
フィルム保存庫、こめびつ、食器棚、と用途が広い。

買ったときも、ヤマトのニイサンが二人じゃ無理と応援呼んで、
クール便のニイサンも集って4人がかり、絶妙な角度で玄関を通した。

次の住まいに入れられるかどうか、よりもまず、
今の住まいから出せるのかどうか、やな。

ちなみに転居先、50平米超は、さすがに広い。
よく言えば、庭付き一戸建てやし。。。
シェア可です。いちおう。

小ぶりな冷蔵庫持ってる方。

あったかやった。

 

「見ておきたい。」

いままで何度も引越しをしてきたけれど、そんなことを言われるのは、はじめてのこと。転居するまえに、見ておきたいというひとが何人も。「あれは見ておいたほうがいいですよ。」という会話がわたしの知らないところで交わされているらしい。昼のホリカワを知らないひとのために、一枚だけ載せておこう。

ホリカワ

ざっくり数えただけでも、生まれてから12軒目。わたし自身もいちばん愛着のある住まいだった。この部屋に、身もこころもくるんとくるまれていた。

この住まいの良さはすべて「ねえちゃんとこは、ばあちゃんちや。」という弟の一言に集約されていると思う。部屋のしきりの磨りガラス戸とか、鉄線の入った重い窓ガラスとか。お風呂場のタイルとか。小さすぎる洗面とか。屋上にあがれることとか。撮影にでかけるときに、上の階のおっちゃんが手を振ってくれることとか。なぜか引越し祝いと言ってごちそうしてくれる管理人さん、とか。

住むひとも住まいもあったかやった。

そして何よりも、部屋に射し込む光。
さいごに迎えたお客さんが「ちゃんと外のことがわかる部屋だね」と言い残す。光のこまやかな表情が部屋の中にいても伝わる、ソトとゆるくつながっている部屋。

もうあと少しでなくなります。

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