LISA SOMEDA

《darker and darker》 (2)

おっちゃんに惚れるなよ

 

しかし、よくひとに声をかけられる。それも撮影中に。

今日もデータをとるために、川を南下していたら、橋の下のホームレスのおっちゃんに声をかけられた。

「自分、写真とってるんか?」
「はい」
「ほんじゃ、おっちゃんを撮らしたるわ。ホームレスやで。」
「え…」
「ほら、こんなポーズどうや?」

路上でひとは撮らないんだけど、わざわざ申し出ていただいたのを断る理由もなく、かんたんに二枚撮らせてもらった。

礼を言ったら。「おっちゃんに惚れるなよ」と返される。
うーん、それはたぶん大丈夫。

さて、データをとってみると、30秒、1分で時々刻々露出が変わる。
速いときは1分で1段くらい下がる。
撮影は思っているよりもずっと難しいかもしれない。

最近、この近辺にはえらくたくさん警官が出ていて、露出計とデジカメを持ってメモをとりながら歩いていたし、多少不審に思われたかも。

気持ちは太陽によりそう。

 

テスト撮影をはじめる。

夕暮れどき、どのくらいのペースで露出がかわるのか、
17時前からスタンバイ。定点観測をはじめる。

いわゆる夕暮れの印象を受け始めるのは17時40分ころ。
18時45分から加速度的に光量が減る。
19時40分でもまだ日没方向の空は明るい。

今日の京都の日の入り時刻が19:02だから、日の入り時刻がイコール空が完全に暗くなる時刻じゃないんだ…ということに気づく。

空の明るさが劇的にうつりかわるのは、17時すぎから20時前の3時間弱くらい。で、思ったよりも長いというのが今日の収穫。

やってみないとわからないことが多い。

5分間隔、時計を気にしながらも太陽が水平線に対して没する侵入角度が浅いほうが、同じ時間間隔で撮影してもこまかく光の変化を追えるのかな…などと想像する。目の前の光景を撮りながらも、気持ちは太陽によりそう。

晴天の逆光で撮るのは無理があるので、薄曇りの日にもテストしてみよう。
逆光であることが気にならないくらい光が拡散されるといいのだけれど。

18時40分ころ、南東から東の空が見せる少し濃いめのグラデーションが好い。