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坂井さんのふく

寺町を自転車で通り過ぎようとしていたところ、坂井さんとすれ違う。

一見の客なんて覚えてないだろう、と思ったら、
すぐにわかったようで、声をかけてくださった。

そりゃそうだ。
わたし、そのとき、彼のつくったふくを着ていたのだもの。
自分のつくったふくを着ているひととすれ違ったら、そりゃ、わかるやろ…。

お店の外で、着ているふくをつくったご本人と対面するという状況は
ちょっと気恥ずかしい。

追い打ち。
新しい店舗がガラス張りなのを良いことに、
外からうっとりふくを眺めているところを、目撃されていたそうな。

メンズラインばかりだし、
クールな店内にはなかなか入る勇気がなかったの。と、こたえたら、

「僕のいるときに来たらいいよ。」
と、やさしく微笑む。

頑固で筋のとおったふくづくりをされていて、相当気難しいであろうそのひとが、
やさしく微笑んでくれるのが、ちょっと、いや、すごく嬉しかった。

男物で、そのうえかなりハードなのに、
つい、お店の前でぼうっとしてしまうくらい、吊られているふくが美しい。
吊られた状態の造形が美しいと思うふくは、そうは多くない。

ふだんはそんなこと思わないのだけれど、
このときばかりは、男に生まれたかったと思う。

メイセン

撮影用の衣裳。
自分用に自腹を切ってでも買いたいと思うものしか買わない…というのがひとつの基準。

最近の着物で、ほんまに上品でええもんを買おうと思ったら、おそろしく高価だし、
かといって、廉価で見た目に安っぽいものを買うわけにもいかず。

…と悩んでいたところ、お店のひとが出してくださったのが銘仙。

まえに通崎さんがテレビで紹介しているのを見たことがあって、
「メイセン」という音だけ、覚えていた。

昭和初期から1960年代くらいまでつくられていた、庶民の普段着用の着物なのだけれど、
柄がすごくモダン。正絹で、パリッとしているふうあいが新鮮だった。

さて、この水玉柄の銘仙。どうやって「現代着物」にしたてあげるか。。。
ここが腕の見せどころやろね。

ごりやく

…布のかみさんのごりやく、やろうか。

(ふつうは見つからないと思うけれど)どこに行っても見つからなかった、
マリリンモンローの衣裳。

あつらえてくださるという方を紹介してもらえた。
パロディは、中途半端にやるとカッコ悪いと思っていたから、
あつらえられると、本当に助かる。

空にも、気持ちにも、少し、晴れ間が見えて来た。

雨のあいだ衣裳と撮影許可の手配ばかりで、
スナップもロケハンもテスト撮影もできなかったから、こころもからだもナマってる。
外を歩かない日が続くと相当にストレスフル。

今週から調子を戻そう。

布の神様

さめこもん。おおしま。どろおおしま。もんつき。しぼり。
まるおび。なごやおび。ふくろおび。

わたしが疎いだけなのかもしれないけれど、きき慣れない言葉をたくさん知る。
家族に吉報があり、昨晩は母と一緒に実家のタンスのそうざらえをしていた。

母のタンスと祖母のタンス。
大正生まれの祖母の着物だけでなく、曾祖母の明治の着物まで、たいせつに残されていた。
母は知らなかったのか、ふたりで大興奮。

祖母は、ええとこのお嬢さんだったらしく、
嫁入りのときの道具はすごかったと母からも親戚からも聞かされていたが、
祖母の着物、予想外にすごかった。

ひとり娘だった祖母のためにつくられた着物の数々を見た母は、
曾祖母がどれだけ祖母をたいせつにしていたか、つくづく実感している様子。

わたしのほうは、ええもんは、古くても、後代のひとにもええもんやと
ちゃんと伝わるねんなぁということをぼんやり考えていた。

わたしは着物のことはようわからんけど、
祖母の着物は、見ているわたしをドキドキさせる。
着物に興味なんてほとんどないけれど、着てみたいなぁと思わせる。

その時代の帯が、帆船の柄だったりして、
とにかくいまどきの着物なんか軽く飛び越えるくらいモダン。

祖母が母のためにこしらえた振り袖、
わたしが13のときに着せてもらったものを今また見たら、
とても繊細な色の刺繍が施されていて、ええもんやったんやなぁと実感。

わたしは、ばあちゃんには布の神様がついとると思っていたけれど、
彼女の着物を見て、ほんまに神様がついとる、と確信した。
そして、それはばあちゃんのお母さんが、自分の娘のためによんできた神様なんやと思う。

祖母の嫁入り道具の、
綺麗な赤の絞りの襦袢と、鮮やかなターコイズブルーの訪問着をあわせて着るハレの日を、愉しみに待つことにしよう。

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