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L_B_S

先週末、メゾンドエルメスで開催されている名和晃平さんの「L_B_S」展を観に行った。

入り口のところで、監視員の方に、「作品にはお手を触れないでください」と注意される。わざわざ、こんなところまで足を運ぶような客に、わざわざ、そんな注意をせんといかんもんなのかなぁ…と思っていたら、その理由がすぐにわかった。

表面の質感に対する関心を強くひき起こす作品。注意されなかったら、つい触って確かめたくなってしまっていただろうな、と思う。

展覧会タイトルのL_B_Sの、LはLiquid、BはBeads、SはScumで、展覧会はその3群の作品から構成されている。

Beadsは、鹿の表面を覆うビーズによって中に入っている鹿の像は歪められている。ビーズで覆われた透明のボリューム。

Liquidは、グリッド状に発生しては消えてゆく泡。うまれては消えてゆくその白い泡の表面に、しばらく見とれていた。

わたしにはどちらも、とても映像的に見えた。

これらは、塊、ボリュームとして受けとめることもできるし、その表面に生起する映像として受けとめることもできる。Scumに関しては、触覚に訴えかける表面の質感が特徴的であり、ものの存在の多層性、ということを考えさせられた。

ドアマンと、店内の雰囲気にビビりながらも、勇気を出して観に行って良かったと思う。

自分の文章にならなかった

1ヶ月弱くらいのあいだ、集中的に内田樹の文章(著書とBlog)を読んでいた。彼の明快な文章によって、いままで自分が感じていた齟齬や違和感に、くっきりとした輪郭が与えられるような感じだった。しばらくはその快楽に浸っていたというのもあるけれど、そういう時期は、彼のことばに自分のことばを絡めようとしても、どうしても自分の文章にならなかった。

どうも、咀嚼には時間がかかるようだ。身体論から社会分析まで、あまりに広範にわたる内容の、それも濃い内容の文章を大量にinputしたのだから、無理もない。

いまから少しずつ咀嚼して、自分の経験にからめて書けたらいいなと思う。

武道論から派生する人間の身体運用についての記述がとりわけおもしろくて、着物では、背面の見えない位置に一家のアイデンティティたる家紋を背負っていることになり、その身体運用においては、「見る」意識が、自分の後方にも回り込んでいる、という。

ひとの「見る」が、そのような複雑な経験として成立しているのだとすれば、写真で表現、あるいは再現できる視覚経験というのは、とても限定的なものかもしれない。どうしても、写真の「可能性」より「不可能性」に魅かれるな、と思いながら、冬空の下、撮影を続ける。

考えごと

ロン・ミュエック展のことをしばらく引きずっている。

あれらの作品で、わたしにとっていちばん辛辣に感じられたのは、
いままでの彫刻作品がいかに抽象化され理想化されたものであったか、
ということを暴いたこと。

同じことを写真にあてはめて、
世に流通する写真群がいかに抽象化され、理想化されているか、
ということを考えさせられている。

備忘録

最近のキーワード。

  • ・つながりそうもないものごとの間をつなぐこと
  • ・へだたり-奥行き
  • ・眼で触診する
  • ・スピード
  • ・制度

光のただなかにあるということ

撮影するこのわたしが光のただなかにあるということ。

透明な存在としてではなく、光のただなかにこの身を持って存在することは、単に視神経が刺激されるのとはまったく違う経験なのだと思う。

光にくるまれるような経験を、四角く区切った平面にどれだけ写しとることができるのだろう。

執拗に光と影を追ったスナップを見ながら、つくづく。

scan

scanの作業をしていて、走査、ということを考える。カメラを水平方向にスライドさせるRIVERSIDEの撮影は、走査なんだと思う。

なんとなく、まとまったひとつの大きなものを構成するというスタンスではない、というところが、立ち止まっているところでもあって、あぁ、わたしは風景をscanしているんだな、と思った。

具体的である、ということ。

春霞、あるいは、黄砂の舞うなかの撮影。
遠景があまりにぼやけて、つまらない、と思ったときに気がついた。

その写真が、具体的であるかどうかということが、自分にとっては、すごく重要だということ。

霧の街の写真を見たpが、「ものは抽象的になると、美しく見えるからね」と言っていたのを思い出し、そうか、その写真が具体的かどうか、ということが、わたしにとっての、ひとつの判断の軸なんだ、と思った。

なんでも言語化すればいいものではないけれど、言語化することによって、いくぶん視界がクリアになった。

わざわざ、閉じない。

なにか特別な場所から、完璧に全体を把握できる目になりきるのは、好きではない。その現場に身を置いていることとか、完結させずにおくこととか、すべてを見渡せないままにしておくこととか。画面の外につながっていく意識だとか。

そういうこと。大事なのは。きっと。
わざわざ、閉じない。

Home / Away

ここ数日ずっと寝しなにShinjuku
Buenos Aires
を見ている。

「近所で写真を撮って作品つくるのは作家の怠慢」

という写真家の厳しいことばがずっと頭にあって、どこか遠くに行くことを考えはじめたから、一人の作家のホームタウンで撮る写真と、アウェイで撮る写真とを比べて見てみたい思った。

同じ写真家が撮っているのに、ずいぶん違うものに思える。

被写体の違い、だけなんやろうか。
ShinjukuよりもBuenos Airesのほうが作家のまなざしが自由になっている印象を受ける。

Buenos Airesは、特に見開き2ページの写真の組み合わせ方がおもしろい。

左ページのタンゴを踊る女性の網タイツが目をひけば、
右ページでは黒く濃く焼き付けられた橋脚の複雑な構造体が存在感を示している。
左右のページの被写体がまったく違っていても、どこか共振するところがあって、それがほどよい緊張感をもたらしているのだと思う。

1枚だけを見るのと、2枚を対で見るのは、2枚のたとえ片方を見ているつもりでも全然違う経験なんだと思う。

と、じいっと見ていると、寝そびれて起きそびれる。
明日は雨だから今夜はよふかしもいいかな。

拒絶反応

新しいカメラのフォーカシングスクリーンが肌にあわない。マイクロプリズムがうるさい。

マイクロプリズムの像を見ながらピントをあわせる操作をしているうちに、撮りたかったものの何がたいせつだったのかわからなくなる。

強制的にピントに意識を集中させられることで、撮る動機になったもの、場の持つニュアンスとかそういうものに対する意識がこぼれ落ちる。

思い返せば、写真を撮りはじめた最初の頃から、作品としての写真に対しては、画面の一部の「見せたいもの」にピントをあわせることに違和感があって、画面全体がくまなく大事だったりするものだとか、周縁にこそ意味があるものだとか、像そのものよりも画面から匂い立つ空気感とか距離感とか、に気持ちが向かっていた。わかりやすい視線の中心をつくることにも、全体で見ておさまり良い構図の一枚の絵をつくってしまうことにも「NO」という気持ちを抱き続けてきた。

しばらくこの拒絶反応と向き合ってみて、だめだったら、スクリーンをかえてみる。これだけ自分が拒絶していることがわかっただけでも良い経験だったと思おう。

time lag

TIME LAG

写っているものがなんであるかを把握するまでの時間。「ん?これ何だろう?」と、「ああ、そういうことね」の間に起こる「何が何でも写っているものを同定したい」という抗えない欲求。そういうものに興味があります。

被写体ではなくって、見るという行為への関心。

今年いちばん贅沢だった10時間と40分。

初日ははずしてしまったけれど、清水穣氏の講義「森山大道研究」を3日間ぶっとおしで受ける。今年いちばん贅沢だった10時間と40分。

あらかじめ境界線を画定してそれを突き抜けるという、写真をとりまくモダニズムの二元論への批判を受けて、昨日の自分のコメントが、そのまんまモダニズムの言うところを引きずっているということに気づきドキっとする。「いま自分が撮っているものの限界をみきわめて、そこからそれを超える方向に向かっていきたいなと」…なんて。知らず知らずのうちに、ある思考体系を前提としているのは恐ろしいと思う。

展開が早かったからまだ未消化の部分も多いけれど、たくさんいいことがあった。森山大道の近作の読み方がやっとわかったこと。いつも煙にまかれるようであった写真論や写真批評について少しクリアになったこと。自分が抱える問題意識を整理できたこと。なによりも、スナップの可能性を信じる気持ちになれたこと。

感謝。

※最新号のInter Communication「コミュニケーションの現在・2006」に「荒れ・ブレ・暈け」再考 というタイトルで清水穣氏が寄稿されています。関心のある方はどうぞ。

映像的

映像的

透過物をとおりぬけてきた像は、いささか抽象性を帯び、事物そのものというより映像的に受けとられる。(「映像的」のほかにいい表現がみつからない…)

「これはあじさいだ」ではなくて、「これはあじさいの像だ」という感じで。物理的に一枚なにかがはさまるだけでなく、認識にもなにか一枚あいだにはさまるように感じられる。

クリアにあじさいが写っている写真とは違うものをこの写真から受けとるのはなんでろう…というところに関心がある。

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