LISA SOMEDA

空を見上げる (6)

Lサイズの流星

 

返却期限がきていたから、
空の案配を見て、DVDを返しに出かける。

出がけには降っていなかったのに、
レンタルショップにつくころには、大きな牡丹雪がマントに白く積もっていた。

結局、タイミングをはずしたなぁ…と思いながら、
返却の手続きを済ませる。

本屋をのぞいて、店を出ると、
さっきまでの雪がうそのようにあがっている。

雪上がりの星空は、綺麗なんだ。

せっかくだから少し歩こうと思い、
自転車を押して南へ下る。

すると、空にすぅっと一筋。

流星?こんな時期に?
半信半疑で空を見上げていると、
さらに大きな流星が、これでもかというくらい、ゆーーっくり、
長いしっぽを見せびらかすように、流れた。

トロいわたしでも願いごとができるくらい、充分スロウに。

すごい…今日のはLサイズ。
そのうえサービス精神旺盛や。

圧倒されて、愉快だった。

すっごい良いことがありそう、とかではなく、
自分を信じてもいいような気もち。信じてがんばろうという気もち。
そういう気もちにさせてもらった。

丸太町まで戻って来たところで、また雲が空を覆いはじめ、
大ぶりの雪が舞い降りてきた。

Lサイズの流星を見せるために、ほんの一瞬雪がやんだような、
天国にいる誰かさんのはからいを感じさせる、そんな夜やった。

ななつ

 

ふたご座流星群がやってきている、とのことで、
夜半にふらりと公園に向かう。

こないだ、ハルさんに「夜に公園に行っちゃダメだよ」と釘をさされたところやけど、
ごめんね、近くで夜空を広く見られる場所は、あいにくここしかないんだよ。

公園に着くまでにひとつ、公園でよっつ、帰りにふたつ、
合わせてななつの流れ星を確認する。

どんくさいことに、全部、願いごとのタイミングをはずしたけれど、
しっぽの長いのが、夜空をすぅっと横切るのを見るのは、
それだけで充分、愉快です。

年賀状の入稿も終ったし、
さて、今夜もそろそろ見に行きますか。

今年は蛍を見なかった。

 

いざとなるとやっぱり、作業は夜にずれこむ。

26時、中京の郵便局に出かけた戻り、
この時期にしては星がたくさん見られたので、まわりみちをする。

輪郭はまだたよりないけれど、こまかい星までたくさん見える。
寒くなったら、もっとくっきり見えるんだろうな。

今年は蛍を見なかった。
夏の暑さもほどほどだった。

だからだろうか。
暮れに向かっている、という実感がまだ湧かない。

この数年は、季節のうつろいにすら、ひりひりしていたのに。

極上のやさしさ

 

夕刻の空のいろは、極上のやさしさ。

一日の終わり、
とにかく感謝をしたい気持ちになったのは、
ずいぶん久しぶりかもしれない。

最近夜空を見上げていない。

みごとにふさふさのひこうき雲。

 

まるでキツネのしっぽ。

御池の角から見上げた空に、
みごとにふさふさのひこうき雲。

空を舞うfox tail。

ビルのうえを、軽やかにまたいでいるのが、
わたしには、そうとう小気味良かった。

ヘラクレス座の

 

なりゆきで深夜のドライブデート。

今出川より北、
お互いの思い出をなぞるように、
なつかしすぎて甘ずっぱい場所をうろうろ、と。

どんどん空が広くなって、漆黒の空にとびきりの星。

運転席のそのひとが「ヘラクレス座の…」と、それらしく言うから、
真剣に見上げると、「うそ言うた。テキトー。」とかわされて。

目的のないドライブだったし、
共通の友人のたちあげたNPOの建物をのぞきに行ったり、
クルマに乗らなきゃできないこと、
たとえば、スタバのドライブスルーでラテを頼む、
なんてことを、ひとつずつ、叶えていった。

新年早々、の、うれしい夜。