お正月のページを飾るモデルさんには、
華やかで上品なものを着せたい…という思いがあって、
撮影ぎりぎりまで衣装探しに奔走。

レンタルの振袖、うすっぺらでケバくて、ろくなものがない。
華やかと派手をはきちがえている。
見ていると吐き気がしそう…と思った。

現代のほんまにええ振袖は、到底手が出ない。

だから、アンティークの振袖。
運がよければ、状態が良くて、素敵なものがあるかもしれない。

そう思って、京都市内のアンティーク店はほとんどまわった。
目を皿にしてオークションも見てまわった。市にも行った。

それでも、お金を払ってまで欲しいと思えるものがなくて、万策尽きた…と思った矢先、
1万着以上、着物を持ってはるというコレクターの方を紹介してもらう。
聞けば、その方は映画SAYURIの衣装を全面的に提供されたのだそう。
京都ってやっぱり奥が深い。

予算と日程を伝えて、なんとかギリギリ、
黒地のとても可愛らしい振袖を貸していただく手はずが整う。

この2ヶ月、いろいろお店を見てまわったけれど、
華やかで嫌味がなく、心底可愛いなぁと思える着物なんて、
ほんまにひとにぎりしかない。

さいご、たった一着にYESを出すまで、
諦めずにずっとNOを言い続けた甲斐があったと思う。

めぐりあわせに感謝。