申し訳なさそうに言われたものだから、
かえってこっちが申し訳ないきもちになる。
郵便局の窓口でのこと。
紛失の届出のところに粉失と書いて、
まったく間違いに気づかずに堂々と書類を提出したところ、
郵便局員さんに、やんわりと訂正されてしまった。
ことばには執着があるほうだから、
こんな間違いに気づかないなんて、はじめてのことだと思う。
(正確には、間違いに気づかなかったことに気づかされたのが「はじめて」だ)
ショックである。
書く能力が著しく低下している。
タイピングする分には全く不都合はないのだけれど、
いざペンを持って書く段になると、
適切な漢字が思い出せずにすこぶる不自由をするということに、
うすうす気がついてはいた。
でも、書き損じることはあっても、
書き損じたことに気がつかないほど、アホになっているとは思わなかった。
これは、能力の低下というより、ほとんど退化だ。
意識的に手でものを書くようにしておかないと、
ほんとうに、書く能力を“粉失”してしまうかもしれない。