最近、子どものころのことを思い出すことが多い。

わたしは、幼い頃のなりたいものは絵描きさんだった。
そのあと小学校高学年のころには小説家にかわったけれど。

近所のYちゃんは、お花やさんか、ケーキやさんになりたい、と言っていた。
そんなYちゃんは、短大の卒業後、アパレルの会社に勤めたと思ったら、さっさと辞めてドイツに行き、パティシエになって帰ってきた。

小学校の頃、全員の絵を黒板に貼り、好きな絵に挙手しましょうという心ない教師の提案で、わたしの描いた絵は一人の挙手も得られず、ひどく落ち込み、中学の美術教師とは折り合いが悪く、寒い廊下で補習を受けさせられた頃には、もう美術なんて大嫌いで、高校では選択すらしなかった。のに、なぜかいま、こんなところにおる。

だから、けっこうひとの人生なんてものは、
幼い頃の無心の選択に集約されてるんじゃないか、と思う。

そういえば、ものごとを習得するのが、ひとより遅いということを思い出した。
逆上がりも、修学旅行のスキーも、みなが習得できたころ、わたしはまだ四苦八苦していた。でも、そういうときでもじっと粘って必ず習得したし、ひと一倍苦労して習得したものは、結果的に、ほかのひとより上手くなった。

だからね、あわてんとこうと思うん。
ひとよりペースが遅いことを受け入れたら、少しだけ、気が楽になったよ。