少しまえの夕方、ふらりと御所に出かけたら、夕暮れの光の中で、銀杏の木がことさら明るく輝いて見えていた。不思議な光景だったので、もう一度見たいと思って昼間にでかけたら、あの日の夕暮れほどパッとしなくてがっかりする。

あ、そうか…。
黄色いものは、もともと黄色に対応する波長だけを反射し、それ以外の波長を吸収する。緑色のものも同様に、緑の波長に対応する波長だけを反射し、それ以外の波長を吸収する。

夕暮れの光には、赤〜黄色に対応する波長がたっぷり含まれていて、それ以外の波長が少なかったんだ。だから、緑や青いものにとっては、もともと射してくる光に、反射すべき波長がないから、射してくる光のほとんどを吸収して、暗く沈んで見えていたのね。

そういうことを考えながら、しばらく散策。

どうして、わたしたちは、紅葉という現象を美しいと感じるのだろうか。どうして、葉は、散り際にわざわざこんな鮮やかに発色するのだろうか。(生物の生存戦略としてどういう合理的理由があるのだろうか…)とか、そんなことを考える。

ものをつくる立場としては、なにか「いい」と感じるとき、その対象のどういう要素に対して「いい」と感じるのかを考えざるを得ない。

そうして、一枚、落ち葉を持ち帰る。

紅葉