先日のミソヒトモジたちとの会話の中で「写真の本質って何?」と訊かれ、まったくコメントできずにいた。そのことでひどく、ひどく悶々としている。

そういうことは、案外近すぎて見えていない。いちばんシンプルな回答は、「光の記録媒体」なんだと思う。レコードが音の記録媒体であるように。

それにしても写真にはいろいろとロマンティックな言説がつきまとう。
過去性や記憶というキーワードはよく耳にするけれど、はたしてそれが「写真」の本質なのか。写真にしか言えないことなのか。それとも記録媒体全般にあてはまるものなのか。そういうことを、寝しなにつらつら考えながら、そういえば、王家衛の『ブエノスアイレス』で、南米最南端の岬をめざすチャンが、ファイにさし向けたのはカメラではなくてテープレコーダーだったな、とか。映画のラストで、ファイが台北にあるチャンの実家でくすねたのはチャンの写真だったな、とか。

核心にはたどりつけずに、同心円上をぐるぐるまわっている。まだしばらく悶々としそうだ。