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撮れずに帰ってくる

先日、読んだ『ひきこもれ』(吉本隆明著 だいわ文庫 2002)に、10年の持続という話があった。

持続ということは大事です。持続的に何かをして、その中で経験を積んでいくことが必要ないような職業は存在しません。ある日突然、何ものかになれるということはないということは、知っておいたほうがいい。(中略)

 たとえば物書きというのは虚業で、政治家の次くらいにくだらない職業ですが、それでも持続ということが大事であることは変わらない。才能がどうこう言っても、十年続けないと一人前にはなれません。

 逆に言うと、十年続ければどんな物書きでも何とかなります。毎日毎日、五分でも十分でもいいから机に向かって原稿用紙を広げる。そして書く。何も書けなかったとしても、とにかく原稿用紙の前に座ることはやる。

まるで朝礼の校長先生のお話みたいやな、と思いながら、読んだのだけれど、「何も書けなかったとしても、とにかく原稿用紙の前に座ることはやる。」というくだりに救われたんだと思う。

スナップを撮りに出かけて行って、一枚も撮れずに帰ってくる、というのがたまにある。それを「無駄足」と思って落ち込んだりもするから。

スナップについては、実に10年どころではなく、30年、50年くらいのスパンじゃないと勝負にならない、と思いはじめている。

日々、経験を更新しながら、撮り続けること。
それが当面のわたしの課題だと思っている。

ある日突然、すごい写真が撮れるようになるわけではないけれど、続けているうちに、かならず機が熟す。