地下鉄、丸太町の構内に、特報の貼り紙。
「河合隼雄氏死去」
お体を悪くされていたことは知っていたけれど、亡くなってしまったんだ。

15歳の思春期まっただなか、
コントロールの効かない「気分」をどうにか理解したくて、
むさぼるように読んだのが、河合隼雄さんの臨床心理学の著書。
そのころ出ていた著書はほとんど全部読んでしまったんだと思う。

人生のいちばん不安定な季節を通り抜けると、読む機会も少なくなった。

それから10年後の25歳。
感じるということに対して関心を持って読んだのが、
鷲田清一さんの臨床哲学と現象学の著書。

そうやって、人生のある季節に集中して読む、ということがあるのだけれど、
河合隼雄さんの著書は、思春期のころに出会っただけに、
受けた影響も大きかったと思う。

10代で持て余していた「こころ」を、
やけにもならず、乱暴に切り上げも切り捨てもせず、
まんま、つきあい続けることができたのは河合隼雄さんの著書と出会ったおかげだったと思う。

感謝と、ご冥福をお祈りして。